海外協力隊応募から派遣まで 自身の経験から伝えたいこと
私はJICA海外協力隊として、2022年2月にタイへ派遣され、2024年2月に任期を終えました。
少しでも海外協力隊に興味がある方のために、自身が海外協力隊へ応募してから派遣に至るまでの道のりについて振り返りました。
コロナ過の合格~派遣ということもあって、海外協力隊応募を決めてから派遣に至るまで、実に3年の月日がかかりました。
海外協力隊応募
海外協力隊応募を決めるまで
私が、海外協力隊に応募を決めたのは、2019年2月の事。
当時、医療機関にてソーシャルワーカーの仕事をしていましたが、退職して海外協力隊に応募する決心をしました。
私の職は、1人しかいなかったため、退職となれば後任にすべて引き継がなければなりません。
その期間を考え、2019年5月で退職を希望しました。
海外協力隊の2019年春募集に合わせての考えでした。
(ちなみに両親へは、3月にその気持ちを伝えています。)
勤務先の事務課長からは当初、「辞めないで行く方法はないのか?」と言われました。
実際、海外協力隊には現職参加制度があり、辞めないで行く方法が無いわけではありませんでした。
しかし、自分としては退路を断つというか海外協力隊から帰って来てから学んだことを活かすのに、このまま同じ環境に戻るのは違うと思いました。
その思いを伝えると、今度は「5月に辞めるのでは早すぎる」と言われました。
3か月前に言ってるのになぁ・・・と思いましたが、一会社員としてそういわれると10年働いた情もあり、仕方ありませんでした。
結局、実務は2019年9月末まで続き、海外協力隊2019年秋募集に応募しました。
結果、職場の皆さんがあたたかく見送ってくれてありがたかったです。
退職方法として、明るく見送られるのは大事だと思います。
海外協力隊応募そして合格
2019年秋募集に応募したものの、合格するとは限りません。
では、なぜこのタイミングで退職したのか?
一つには、10年以上のソーシャルワーカーの経験を活かせる要請があったので、合格できる自信があったこと。
もう一つは、合格までの期間を利用して、フィリピンのセブ島へ2か月間留学することを決めていたからです。
セブ島への留学目的は、
- 英語の勉強
- 海外での長期生活ができるかの確認
でした。
この留学によって考えが変わるようなら、また別の事を考えようと思っていました。
結果、自分は海外で経験を活かした仕事したい思いが強くなりました。
英語も、TOEICでいうと100点以上はUPしたので、留学経験は自分の自信となりました。
正直言うともう少し長くいたかったのですが、海外協力隊の2次試験が迫っていたので帰国しました。
そして、2020年2月、2次試験「合格」となり、晴れて派遣前訓練参加が決定しました。
派遣前訓練延期
順調に自分の思い描いたスケジュールかと思った矢先、コロナウイルスが世界中を巡る問題となりました。
そう、ご存じの通り、その時期に世界中に派遣されていた海外協力隊員は全員帰国となり、また、派遣前訓練も無期限延期。
思い描いた予定が崩れたこと、この心のやり場がどこにもない事で、心が空っぽになりました。
モチベーションが著しく低下しました。
しかしそこから思い直し、この期間を海外協力隊で派遣されたときの引き出しを増やす時期にしようと考えました。
それから、高齢者のデイサービスや生活困窮者の相談支援の仕事をしていました。
2021年に入り、ようやく、JICAから派遣前訓練再開のスケジュールが知らされました。
迷わず私は、一番早く訓練を受けられる2021年度1次隊の参加を希望しました。
派遣前訓練(2021年度1次隊)
2021年1次隊として、4月より派遣前訓練を受けることになりました。
コロナ過の訓練は、14日間のホテル隔離、45日間の訓練所生活と通常とはかなり勝手が違います。
(通常は訓練所で70日間の訓練)
ホテルでの隔離期間中は、なかなか同期隊員と対面で会えないことにもどかしさを覚えていました。
そんななか、ホテルのカードキーをなくして冷や汗をかいたり。
(カードキーをなくすほどの自己管理ができていない者は帰ってください!なんていわれるかと思ってました)
そんな隔離期間を乗り越えて、福島県にある二本松訓練所での生活となりました。
ようやく対面で同期訓練生と会えたこと、タイ語を学ぶことの楽しさと困難さを共有できる時間はなんとも楽しい毎日でした。
課業後には体を動かして・・・
これが、2021年の自分のNo.1事件でした。
体育館で体を動かしていた時に、アキレス腱断裂。
訓練所に来て10日弱、まだ1か月以上を残してのことでことでした。
急に、閉ざされた2021年1次隊の訓練は、将来への絶望感と自分へのやるせなさでいっぱいでした。
訓練中止~リハビリの日々
地元に戻ってきて、まず、手術を受けました。
選んだ整形外科が非常に親切で理解のいいクリニックで、入院せずに手術後即帰宅し療養とリハビリ生活を行えました。
と言っても、この先の未来が急に何もなくなったので、毎日ぼーっとしていました。
一応、タイ語の勉強をしてみましたが、頭に入るわけでもなく。
1次隊の同じくタイに行くメンバーは訓練所からいつも気にかけて連絡をくれました。
ほんと人に恵まれているなぁと思いました。
それでも、そのメンバーが訓練を終えたことを聞いたときはちょっと寂しくなりました。
彼らは先にタイに行き、自分だけが取り残されるのだと思ったからです。
しかし、2021年1次隊メンバー訓練所を卒業してもコロナの影響でなかなか派遣に至らない日々を送っていました。
それぞれが悶々としていたのです。
自分はというと、地道なリハビリを重ね、2か月ほどで普通に歩行できるようになりました。
ようやく自分の気持ちも上に向いてきたところで、訓練を再開できる事が決まりました。
今度は、2021年4次隊として。
派遣前訓練(2021年4次隊)
2021年4次隊の派遣前訓練は、10月~12月の年末までの期間で行われました。
本来、タイに派遣される隊員は二本松の訓練所で訓練を受けるわけですが、この隊次においては23名ということもあり、長野県にある駒ヶ根訓練所での訓練となりました。
コロナ前は約200名、2023年度などは100名以上の訓練生が集っていることを思うと、23名というのはいかに少人数だったかと言えます。
それ故に、落ち着いた雰囲気で、静かな環境で過ごすことができました。
訓練生にとっての一番の難関、涙を流すもの現れる語学訓練ですが、私に至っては前回の経験からタイ語を勉強する時間がたっぷりあったこともあり、訓練中の語学についてはほとんど心配してませんでした。
それゆえ、語学訓練を行う訓練生の負担を減らそうかと、班のリーダーに立候補しました。
日中は語学訓練の他、海外で生活する上での注意事項が盛り込まれた講座などが続きます。
短いようで長いようで短い45日間を終え、訓練を無事終えることができました。
一番は怪我に気を付けました。
何と言っても、もう2度と怪我で訓練途中に帰ることはしたくなかったからです。
もし、海外協力隊を希望している人は、はしゃぎすぎに注意しましょう。
いろんな思いを抱える海外協力隊待機者へ
コロナ過で当初の予定が大幅にずれました。
自分の将来設計が大きくずれてしまった人もいるでしょう。
コロナに嘆く人もいるでしょう。
先に活動をしている協力隊員をうらやましく思う人もいるでしょう。
自分の今の立場に不安と戸惑いを感じている人もいるでしょう。
それでも、一度目標にしたその思いを持ち続ければいつかは叶います。
世界はあなたを待っています。
悶々をする時期を過ごした私も、必ず自分が目指した明るい未来があると信じてここまで来ました。
だから、今はその思いの灯をほんのりでもいい、持ち続けてみてください。
共に、世界で輝く人になりましょう。
これから海外協力隊を目指す人へ
海外協力隊経験者が書くブログやSNSで観る光景は非常に輝いて見えます。
目にする物が100%海外協力隊を表していないかもしれません。
それでも、この海外協力隊での2年間の経験は、人生の中で必ずかけがえのないものになると私は思います。
海外協力隊になるためには、一歩勇気を踏み出すことです。
そうすると、考えをともにする仲間に出会え、あなたの力を必要とする世界中の人々に出会え、自分を応援してくれるたくさんの人々に出会えます。
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