2年間の海外協力隊ボランティア生活を終えた。
最後には後輩隊員向けに帰国報告会を行ったのだが、そこで何を伝えるべきか活動最後の1か月は非常に考えを巡らせた。
結果いきついたのが、自分が関わったタイ人100人に「あなたにとって幸せに必要なものは何か?」を問い、その結果を発表するというものだった。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 |
健康 | 家族 | ボランティア | 精神的なゆとり | お金 | 笑顔 | 友達 |
↓(参考)日本人の「あなたにとって幸せに必要なものは?」ランキング
100人への聞き取りって思ったよりしんどくて
インスタグラムで見た他の国の隊員が、生徒たちに「幸せと感じるのはどんなときか?」というものを参考にしようと思ったのは活動終了1か月前。
高齢者介護の職種ということで、高齢者を中心とした100人に質問していこうとしたのだが、これが思ったよりしんどかった。
100人に会い、一人一人に質問を行っていくことは意外と大変なことなのである。
それでも、1つの会議やクラブがあれば、積極的にホワイトボードを片手に走り回り質問した。
思い返すと、そんなにしっかりと会話をしたことが無い高齢者たちもいた。
この「あなたにとって幸せは何なのか?を100に質問しなければいけない」という自分へのプレッシャーがいい意味で今までにないコミュニケーションを生んだ。
こんなことなら、もっと前から質問を用意してコミュニケーションを図ればよかった、なんて思うのは往々にして活動の最後なのである。
思わる副産物と100人に質問した結果に辿り着いたもの
在宅訪問の時にある高齢者の患者にも質問した。
その患者は、自分が挨拶しても、一緒に行ったタイ人看護師が話しかけても言葉を発しなかった。
この患者には質問することは無理かななんて思いながらも、「あなたにとって幸せに必要なものとは何ですか?」と書かれたホワイトボードを渡し、書いてもらうよう説明した。
すると、しばらく悩みながらも患者はペンを走らせ始めた。
「ラジオ」
その文字を見た時、横にいた患者の家族が、「ラジオで歌を聴くことが幸せなのかい?」と患者に聞いた。
その患者はうなづいた。
家族は、「そんなこと思っていたなんて聞いたことなかったわ」と言っていた。
どうやらこの質問ツールが、家族も知らない患者の趣味嗜好に気付くことができる最適ツールになっていたようだった。
こんなに使えるアイテムだったなんてと改めて気づかされた。もっと早く気づいていれば、いろんな患者に質問できたし、コミュニケーションの幅が広がったのにと思ったのだが、それも後の祭りだ。
このエピソードを、一緒にいた看護師が他の同僚にも伝えてくれていたようで、嬉しかった。
自分が動いたことで患者と家族のコミュニケーションが生まれた、同僚も認めてくれた、自分がこの地域に存在した意義があったと思えたのだ。
自分にとって「幸せに必要なものとは?」
自分自身もこの問いに対し最初から答えを用意していた。
自分にとって幸せに必要なものとは、「笑顔」である。
自分が笑顔でいる事、自分と関わったみんなが笑顔でいる事こそ幸せと思える根源かと感じる。
一人でも多くの人を笑顔にしたいがために、仕事をし、コミュニケーションを図り、時には困っている人を助ける。
これぞ自分の人生だなと、改めて思えた活動の最終章。
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