1000組のタイの親子に会って感じた国による子育ての違い

海外協力隊

私が配属されている病院では、毎週水曜日に子どもクリニックを行っている。

毎週30~40人ほどの子どもたちが受診、予防注射等にやってくる。

私は、配属先でこれまで数多くの親子を見てきたが、その中でタイと日本の子育ての違いを感じることもある。

例えば、子どもが言う事を聞かないとすぐに暴力で止めようとする親、伝え方や見通しを持って子どもへ接する対応が上手だなぁと思う親などいろいろある。

発達障害の子 父親の対応に感嘆

おそらく発達障害があるであろうと見た感じでわかる、3歳くらいの男の子が受診しに来た。

例えば、衝動を抑えきれずに他の子に暴力をふるおうとしたり、狭い部屋でたくさんの患者が待っている中で走り出して止まらないというような。

大体の父親は、そんな子どもを掴んだり大声で注意したりして制するのだが、その男の子の父親の対応は今までタイで見たことがないものだった。

胸をなでなでして落ち着こう

男の子はおもちゃで一人で遊んでいたのだが、横に座っていた子におもちゃを奪われた。

その瞬間、おもちゃを奪われた男の子が急に、真っ赤な顔をして怒りの形相でこぶしを振り上げたのだ。

お、これは止めに入らなけれらばだめか!?と私は一瞬思った。

しかし、子どもはこぶしを振り上げるまでで実際に叩こうとはしなかったのだ。

怒りの形相から自分を静止できる子どもにあまり出会ったことが無かったので、私はちょっと感心した。

そんなこぶしを振り上げた子を横で見ていた父親は、穏やかに胸を撫でるしぐさを繰り返し始めた。

この父親の行動は、なかなかできるものではない。

私は、4年ほど障害児に関わる仕事をしていたが、障害児施設で働いている職員でさえも、このような状況では冷静に対処できない光景を何度か見てきた。

父親が胸を撫で下ろしながら諭すと、男の子は落ち着きを取り戻しまた遊び始めたのだ。

タイと日本の父親の差

子どもクリニックで毎週活動していて感じるのは、子どもと父親が一緒に受診する割合が日本に比べて多く感じるということ。

体感では、7割方子どもの受診に父親が付いて来る。

職業上、自営業が多い国だからという見方もあるが、物理的に父親が子どもと接する時間が多く、子どもは父親に対して信頼感や尊敬しているなぁと感じることが多い。

サラリーマンが多い日本では、例えば、平日は残業で夜遅く家に帰ればもう子供は寝ていたり、休日は接待ゴルフ、何も予定が無ければ仕事の疲れでゴロゴロしていて、結局子どもの相手はあまりしないという人をよく聞く。

日本の父親は子どもとの関係性の構築をもっと努力しなければならないのではないかと感じるのは私だけか。

後日談

たまたま入ったマッサージ店の中で子どもが遊んでいた。

どこかで見覚えがあるなぁーと、マッサージを受けながらずっとどこで会ったか考えていた。

すると、マッサージ店の店主が「会ったことありますよね?」と言ってきた。

その言葉で「はっ!?」と気が付いたのは、あの時の病院に来ていた親子だったという事だった。

マッサージ師の父親、その店内で無邪気に遊ぶ子供。日本で考えれば、職場でおもちゃを広げて子どもが遊ぶ光景はあまり見れないかもしれない。

しかし、常に子どもを見守れるこの環境だからこそ、子どもを落ち着かせることができる対応方法も知っているし、穏やかに接することができるのではないかと納得した。

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